月経不順とは?女性が知っておくべきこと
月経は女性の健康を映し出す重要な指標です。しかし、「毎月決まった日に来ない」「出血量が多すぎる」など、周期が乱れることに悩む女性も少なくありません。月経不順について正しく理解することで、適切な対処法が見えてきます。
月経不順とは?
通常、月経周期は21日から35日が一般的です。この範囲から外れたり、周期が毎月大きく変動する場合、月経不順と呼ばれます。具体的には以下のようなケースが該当します:
- 周期が21日未満または35日以上になる
- 数ヶ月間月経が来ない(無月経)
- 出血量が非常に多い(過多月経)
- 月経以外の時期に少量の出血がある(不正出血)
婦人科専門医の佐藤美香先生は、「月経不順は単なる不便さを超えて、体内で起きている何らかの異常を示している場合があります」と指摘します。
月経不順の主な原因
月経が不規則になる原因は多岐にわたります。その中でも代表的なものを見ていきましょう。
1. ホルモンバランスの乱れ
エストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンが不足または過剰になると、月経周期が乱れることがあります。
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS): 卵巣に小さな嚢胞が多数でき、ホルモン分泌が乱れる状態。
- 甲状腺異常: 甲状腺機能亢進症や低下症は月経周期に大きく影響します。
「PCOSは若い女性によく見られる月経不順の原因の一つです」と、内分泌学の専門家である田中和子先生は説明します。
2. ストレスやライフスタイルの影響
強いストレスはホルモンバランスを崩し、月経に影響を与えることがあります。
- 過度な運動: スポーツ選手や過剰にトレーニングする方は無月経になることが少なくありません。
- 急激な体重の増減: 急なダイエットや体重増加が影響します。
3. 避妊薬や薬剤の影響
ホルモンを含む避妊薬の使用開始や中止で月経が乱れることがあります。また、他の病気の治療に使われる薬が影響する場合もあります。
4. 基礎疾患
- 子宮筋腫: 子宮内にできる良性腫瘍で、過多月経や痛みを引き起こします。
- 子宮内膜症: 子宮内膜に似た組織が子宮の外側で増殖し、月経痛や月経不順を引き起こします。
病院に行くべきタイミング
以下のような症状がある場合は、婦人科を受診することをおすすめします:
- 3ヶ月以上月経がない
- 月経が21日より頻繁に来る
- 月経量が非常に多い、または7日以上続く
- 強い痛みを伴う
「早期に適切な治療を受けることで、将来的な健康リスクを減らせます」と、産婦人科医の山田真由美先生は強調します。
不妊への影響
月経不順は排卵日を予測しにくくし、妊娠を希望する女性には悩みの種となることがあります。
- 無排卵: 月経不順の背後には排卵が起こらないケースも含まれます。
- 排卵日特定の難しさ: 不規則な周期では妊娠しやすいタイミングをつかむのが困難です。
ただし、不妊症と直結するわけではありません。適切な治療や体外受精(IVF)などの方法を利用すれば、多くの女性が健康な妊娠を実現しています。
診断方法
医師は以下のような検査を行います:
- 身体検査: 子宮や卵巣の状態を確認。
- 血液検査: ホルモン値や貧血の有無を調べます。
- 超音波検査: 卵巣や子宮の構造を確認。
- 子宮頸がん検査: 子宮頸部の異常を排除します。
治療方法
原因に応じて治療法は異なります。
1. ライフスタイルの改善
- ストレス管理: ヨガや瞑想、カウンセリングを活用。
- バランスの取れた食事: 栄養豊富な食生活がホルモンバランスをサポートします。
- 適度な運動: 過不足ない運動で体を整えます。
2. 薬物療法
- ホルモン療法: ピルやホルモンパッチが周期を調整。
- メトホルミン: PCOSの治療に用いられる薬。
- 甲状腺治療薬: 甲状腺の問題を治療します。
3. 手術
子宮筋腫や子宮内膜症などの症状が重い場合、手術が必要になることもあります。
予防と自己ケア
すべての月経不順が予防できるわけではありませんが、以下の方法でリスクを減らせます:
- 適正体重を保つ: 痩せすぎや太りすぎは避けましょう。
- 栄養バランスの取れた食事: 鉄分やビタミンを含む食品を積極的に摂取。
- カフェインやアルコールを控える: ホルモンバランスに影響を与えることがあります。
- 定期検診を受ける: 早期発見が健康維持のカギです。
心のケアも大切
月経不順によるストレスは見逃されがちです。
- 周囲のサポートを活用する: 家族や友人に相談しましょう。
- 専門家に相談する: セラピストやカウンセラーの助けを借りるのも効果的です。
まとめ
月経不順は誰にでも起こり得る問題ですが、その多くは適切な対応で改善できます。原因を理解し、必要に応じて専門家に相談することで、体と心の健康を守りましょう。
「月経の状態は全身の健康を反映する重要な指標です。異常があれば迷わず相談してください」と佐藤美香先生はアドバイスしています。
参考情報
- 書籍: 『女性のためのホルモン健康ガイド』
- ウェブサイト: 日本産婦人科学会
- サポートグループ: 地域の婦人科相談窓口やオンラインフォーラム
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